ブログ
観光ルートの外側で町は動いている
この町には、特別に作られた観光地のような場所は多くない。ものづくりや風景に惹かれて、遠くから足を運んでくれる人もいる。けれど、ここはもともと観光地として作られた場所ではない。だからこそ、景色だけではなく、ここで暮らし、働いてきた人たちの生活や生き様を、少しだけ感じてもらえたらと思っている。
朝、まだ静かな路地に人の気配が生まれる。誰かが掃き掃除をし、誰かが鍵を開け、いつも通りの時間に、いつも通りの一日が始まる。この町では、派手な出来事はあまり起きない。けれど、小さな積み重ねが、長い年月をかけて今の風景をつくってきた。大きな声で語られることはなくても、黙々と手を動かし続けてきた人たちの時間が、町のあちこちに残っている。

道端ですれ違う人の挨拶。仕事の合間に交わされる短い会話。その一つひとつに、この町で生きてきた人たちの、飾らない日常がそこにある。ここを訪れる人の中には、観光地のような分かりやすい魅力を探す人もいるかもしれない。けれど、この町の良さは、目立つ場所ではなく、日常の中に自然と溶け込んでいる。誰かに見せるためではなく、ただ自分たちの生活を続けてきた結果として残っている風景。それこそが、この町の本当の姿なのだと思う。

夕方になると、仕事を終えた人たちがそれぞれの家路につく。灯りのついた窓の向こうで、また新しい一日へ向けた時間が始まる。観光という言葉では、少し違うのかもしれない。ここで見てほしいのは、景色よりも、人の生き方だ。この町は、誰かに見られるために存在しているわけではない。それでも、変わらず続いてきた生活の中に、きっと感じ取れる何かがあると思っている。



