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ブログ
桜と除雪車のある町で

今の時期、三条の工業団地は一面の雪に覆われている。夜になると、静まり返った町の中を除雪車が一晩中走り続ける。道路を守るため、物流を止めないため、この町の産業を支えるための仕事だ。夜中に除雪車が走っている姿を見ると、なぜか少しワクワクする。子どもの頃、こんな時間まで起きて働いている人がいるのだと思うと、不思議な高揚感を覚えた。大人になった今でも、除雪車を見ると同じ気持ちになる。きっとこれは、雪国で暮らす人にしかわからない感覚なのだと思う。暗い夜の中で光る、除雪車の黄色いランプ。それは冬の風物詩であり、この街のインフラを守るために欠かせない光だ。

そんな長い冬があるこの街の工業団地の多くには、桜並木がある。冬の間、雪に埋もれているその道が、春になるとまったく違う表情を見せる。雪が溶け、季節が変わると、工業団地はまるで映画のセットのような美しさに包まれる。足元の雪はすっかり消えているのに、背景に見える山々はまだ真っ白なまま。里は春、山は冬。その対比が、この町らしい風景をつくり出す。

長く寒い冬を耐え抜いたあとに訪れる春。暖かな太陽のぬくもりと、満開の桜の美しさは、心と体をゆっくりと癒してくれる。この街の桜が咲くのは4月。新しい年度の始まりだ。工場や倉庫では、今年度の仕事が本格的に動き出す。この街の産業を支える人たちは、桜の木の下で真剣な眼差しで働いている。舞い落ちる花びら一枚一枚に、それぞれの一年への思いを重ねているかのようにも見える。

まだ春までは、あと数ヶ月ある。

春が待ち遠しい気持ちと同時に、白鳥たちとの別れが近づき、胸の奥に小さな寂しさが残る。それでも、日本人として、桜を見るとやはり特別な気持ちになる。除雪車が走る冬も、桜が咲く春も、どちらもこの町の日常だ。桜と除雪車が共にある町で、季節は静かに巡っていく。

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