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地元の人だけが知っている季節のうつろい Part2
前回の「地元の人だけが知っている季節のうつろい」では、白鳥のことを書いた。今回は、町から毎日見上げている山について書いてみたい。
町から見える粟ヶ岳。この山の頂上に雪が降り始めると、地元の人は自然と同じことを感じる。「いよいよ冬が来たな」と、言葉にしなくても共有できる合図のようなものだ。昔、祖父からこんな話を聞いたことがある。「粟ヶ岳に大きく二回、雪が降ると、里にも雪が降り始める」。天気予報も、スマートフォンもなかった時代、人は山を見て季節の移り変わりを知っていた。昔の人は、自然を見て、感じながら生活をしていた。毎日の空の色、山の表情、風の匂い。それらすべてが、暮らしの判断材料だったのだと思う。

もう一つ、日々の天気を教えてくれる大切な山がある。粟ヶ岳と向かい合い、海側にそびえる弥彦山だ。弥彦山が曇っていると、そのあと町にも雨が降る。逆に、町が雨でも弥彦山が晴れていれば、「もうすぐ天気は回復する」とわかる。山は、少し先の空模様を教えてくれる、案内役だった。農家だった祖父からは、こうした自然の中で生きるための知恵を多く教わった。特別な言葉で語られることはなかったが、その一つひとつが、今でも心のどこかに残っている。

日々見ている美しい景色は、ただの景色ではない。そこには、この土地で生きてきた人たちの経験と知恵、そして時間が積み重なっている。山を見上げるたびに、そんなことをふと思い出す。



